✥  この世の王国 [5]




 別珍のなめらかな空気を裂いて、この国の中心、湖に浮かぶ王城神殿が打ち鳴らす梵鐘の音が水の上を奔る。神殿が高々と打ち鳴らす時の鐘は、物心ついて以来聞き慣れたものだった。鐘の音が車中にまで届き、フィアカントの街に入ったのだとタナッセは知った。
 窓を開けることはしなかった。冷たい石造りの街を進み長い橋を渡り兎鹿が速度を緩やかにし、やがて歩みを止め、城門の衛士と侍従の会話が耳に入っても、タナッセは組んだ手を開くこともしなかった。
 華々しい儀装鹿車に子どもと隣り合い、眠る幼な子をながめて、自身の幼少期を思い返していた。子どもの頃、ヴァイルには継承者らしくあれと請うてきた。継承者が継承者らしくあること、品位を保ち知識を有し歴史を尊重するような、彼の考える継承者らしさを持つ人格であること、それはタナッセにとって正義の実現そのものだった。
 彼が正しさを体現する人間であればこそ、タナッセは救われる。
 自分はもっとも望まれた子どもではないのかもしれない。それでもみぎわまさりし神の寵愛者たる存在があればこそ、立つ瀬があろうというものだった。
 従兄弟が印を授かり自分に与えられなかったのは、ただ運の問題それだけだったとタナッセは自分を慰めてきた。改めて意識するまでもなくヴァイルはランテの正当な裔で、偉大な曾祖父の血を引いている。彼が選ばれるのは道理にかなう。だから仕方がない。ヴァイルと自分は年が近い、自分が選ばれなかったのは運の悪さでしかない。そういうこともある。本当には納得していなくとも、そう何度も自分に言い聞かせてなんとか己を保ってきた。
 彼と同年である二人目の登場は明確にそれを否定した。タナッセが彼自身についてこれだけは間違いないと信じていたもの、他に何もなくともこの血筋だけは尊ばれてしかるべきだとしがみついてきたわずかな拠り所も無価値なものとしてうち捨てられた。あのときの身を切るような痛みを忘れはしない。愛されるだけの資格はないのだと、その器ではないから印は与えられないのだと、その身ひとつでこの上なくあざやかにレハトは証明してみせた。
 神が特別に愛する存在がいるのなら、彼らが選ばれるだけの理由もあるはずだった。たとえその基準が人に開陳されなくとも、神が愛する以上はその理由は善きものであるはずだ。そしてタナッセはそうではないのだった。彼ら寵愛者と呼ばれる人たちと、タナッセは、「違うもの」であると突きつけてくる存在、それがレハトだった。
 タナッセは天使のことを思う。神に使役される天の御使い。神を中心とした調和という、構造それに仕える、人のかたちをした人ではない生き物のことを考える。寵愛者は天使に似ている。
 いや疑いは人間にあり。天に偽りなきものを……
 神は己に仕える者を愛するのだなとふと思い、彼女はそれを望まないだろうとタナッセは内心で笑った。彼もまた、神に愛されたいと望んだわけではなかった。愛されたいわけではないが、天使でありたかった。
「お足元にお気をつけください。少々滑ります」
 段を下りながら扉を開けた者の言葉に頷いて見せ、タナッセは王城へと降りたった。地面は靴底の印章が繰り返し押され、おうとつが波のように重なっていた。靴跡は魚群のように城へと集う。
 ついぞ一匹の魚にはなれなかった。水晶の華やかな光のもと、身をくねらせるだけで縦横に動き回る人びとの中でいつまでも息苦しかった。
 泳ぎ切れるだろうかと、主語は曖昧に思う。
 幼少より慣れ親しんだ廊下を彼は歩いていく。どこから運ばれたのかも分からない古い石どもを踏んで、進んでいく。一歩ごとによみがえる足裏の感覚が、彼を過去に連れていく。一瞬たりともこの城から離れたことなどなかったような錯覚を覚える。ひどく喉が渇いている気がした。歩きながら意識してそっとまぶたを閉じ一度唾を飲み込んで目を開けると、もうなんともなかった。
 玉座の間の扉は彼の記憶の中と寸分変わりない。変わるはずもなかった。タナッセはその前に立ち止まり、己よりはるかに背の高い古い扉を無感動にながめた。全ては夢だったのかもしれない。私はずっとここにいたのかもしれない。扉の向こう、その正面に母がいるのではないだろうか。数年ぶりの景色にあっさりと馴染んだために、ちらりとそんなことを考えた。
 重く厳めしい扉は、空気を押しのける音にならない音だけで開いた。決定的に変わってしまったのは彼だった。
 国王を中心にずらりと並列する官吏らのあいだには好奇心に満ちた不審がただよっていた。こんな場所だったなと懐旧の情にかられる。
 こうして玉座の前へと進むことはいつ以来だろうか。少年時代そのような経験はほとんどなかった。彼は大人から注意を受けるような子どもではなかった。
「国王陛下におかれましてはご健勝の由、心よりお喜び申し上げます」
 礼拝し久闊を詫び、妻の葬儀の礼を述べ、タナッセは順番に続けた。
「我らが守護者たる神の名において、我が国を新たなる栄光の世代に進めるべく任じられし方の後見として、いま再び陛下に拝謁叶いましたこと、光栄に存じます」
 視線を受けた。あなぐるまなこが全身を、指先の動きひとつ、視線の流れすらも舐めるように観察し検分しているのを感じた。そうして査定され検討され、判断されるのだろう。
「かような僥倖にたまわるとは望外の喜びです。陛下のご助力に感謝すると共に、務めをはたすべく誠心誠意をもって尽力する所存です」
 いつかそうするのだろうと幼いころ想像した通りに主君に頭を垂れた。よく手入れされた道具のようななめらかさで動き、タナッセは言葉を待った。
「――遠路はるばるごくろうだった。詳しくは、追って沙汰を出す」
 知らない男の顔が、そうあるべきであるような言葉を紡いで、ようやっとタナッセは本懐を遂げたような心地を得た。感慨と呼ぶべきものはなにひとつなかった。完璧に成し遂げたことも当然であり、満足すらなかった。
 辞去の段に至り、ささやかな違和を覚えて眼を動かし視線だけを上に向けた。違和感の正体はすぐ気づいた。そこにあるのは掲げられた五枚の肖像画だった。五枚。完成したのだなと、彼は最後の一枚を見た。
 彼にとって三枚目までは特別の意味を持たない。意味があるのは四枚目からで、それは彼の母親の姿だ。五代国王リリアノの若かりし頃の似姿。その隣、新たに加わった五枚目は今背後にいる従兄弟だった。成人したばかりのあまりなじみのない顔。
 そしてすでに描かれた予定通りの二枚よりも、その隣に並ぶことになる今はまだ何もない場所と、永遠に描かれることのない一枚こそが最も意味を持つ。

 前王の一人息子、現王の従兄、そして次代の王の父。並べ連ねればこれほどもてはやし厚遇されそうな人物もいなかったが、実際のタナッセの立場は甘やかしからはほど遠いものだった。無論、表面上の態度を除けば、という注釈ありきの話ではあるが、それもまた昔をなぞったように彼らの本心は明白だった。それらは態度や遠回しな言葉、彼への待遇でもたらされたが、ときには直截な言葉もあった。
「――それでさ、印持ちが生まれますようにって、願掛けしてたらしいな」
「そりゃー、誰だってするんじゃないの」
 どちらも聞き覚えのない声だった。話しぶりからして下働きの者たちのようだ。
「それがなんか、昔使ってた部屋で、なんだか妙なことしてたらしい」
「ふーん。妙って、何?」
「最悪の台本だよ、こりゃ。俺は昔っからここにいっからあれのことはよく知ってっけど、みんな言ってたよ。あの役立たずのお坊ちゃんのガキが万一あれだったら……あれだって。まあほんとにさ、神様ってのは何考えてんのかね」
「例の……二人目だった子だろ。踏み台にされてまあ、可哀想にね。まあ偉い人たちのあれこれで、仕方ないとはいえね。可哀想にねえ」
 よく耳になじむ陰言に苦笑し、タナッセはそこに安らぎすら覚えた。その場に突っ立ったままそれを聞いて、ひとつひとつに、納得し、受け入れた。そうせざるを得ない消極的な心情ではなく、積極的に頷いていた。いつだって間違っていたのは自分だったのだから、奴らが正しくてもおかしくはなかったのだ。
 寄る辺のない二人目を無理やり娶り、首尾よく印持ちの子を産ませた後は子を抱かせることもなく葬った。
 そういえば昔もこんな事があったと、タナッセはふと思い出した。まだ十かそこらで、本当に子どもだった。そのときはひどく憤慨し、失望したのだった。まだ幼く、他人にも自分にも多大な期待を寄せていた。だから失望などしたのだ。そのときまで、彼らの正しさを逆説的に信じたかった。そうであれと気づいたのは、ずいぶん後のことだったが。
 かつてここは「自分」と「奴ら」の場所だった。
 望まぬ闘争の渦中に否応なしに巻き込まれ、戦い抜くだけの理由も情熱も持てず、本来なら安全であり安心を与えられるはずの生まれ育った場所で、敵と暮らした。奴らは敵だった。名目だけの肩書きを頼りに、役割を与えられることも求めることもなく、したがって受け入れられることもなく、孤立した中で装うことを覚えた。武装は紙のように薄く、唯一の武器すら脆弱で、自分に失望しながら耐える以外にすべを知らない弱い子どもだった。迎えうつだけの無力な戦い。際限の無い無力感と劣等感だけを繰り返し得たものは徒労だった。
 十八年ここにいてしてきたことといえば自己否定だった。ひとつひとつ、念入りに、自分の持たぬものを、出来ないことを取捨し一覧に仕上げて、ここにいられない理由を考えた。居たいと思わねばならないのに、そう思えない自分はなんと情のない、身勝手な人間なのだろうと思い、そう考えたくない故に仕方がないと言えるだけの理由が必要なのだと思っていた。
 彼女の代わりに自分はここにいるのだという確信が今、タナッセを支配していた。
 だからこの程度のことはなんということもなかった。簒奪者となれたことを喜ぶ気にすらなれた。
 何にせよ、あいつはもういないのだから。

 くだんの文官に直接礼を言っていなかったことを思い出し、タナッセは図書室まで足を運んだ。本人が言いふらしたのかはっきりしないが頼んだことはすでに噂になっている。人に話されたところで困りはしないが、一応釘を刺しておくべきだろうと考えた。
 図書室の圧倒される量の書物にほとんど郷愁のような感情を覚えた。子どもの頃好きだったもの、あれほど心を占めていた物にほとんど興味を失っていた。過去の自分ほど遠い他人はいない。
 彼は当番の日だったらしく、すぐに出てきた。面長の、善良そうな若い男で、わざとらしいほど大きく笑う。タナッセに対してへつらうような態度は見せず、お目にかかれて光栄だと、はきと挨拶をした。
「あれでよかったのですか? 特に何もなかったのでご連絡差し上げなかったのですが」
「ああ、助かった。しかし、これ以上この件でとやかく言われるのは面倒だ。了解しているだろうが」
「誰にも何も言っていませんよ」
 文官は特に気分を害したようでもなく、こだわりなく断言した。それにはタナッセの方が居心地悪くなり、目をそらした。妙な疑いをかけたことがいくらかやましかった。
「――まだ置いてあるのか」
 目にとまったのは見慣れた装丁だからだろうか。タナッセが顔をしかめて薄い詩集を目で示すと、文官は、ああ、と承知したように頷いてタナッセの表情に気づく。
「ディレマトイですか。お嫌いでしたか?」
「……とうに廃れたかと思ったがな」
「そう古い物ではないでしょう。確かにもう何年も新作は出てないですが、まだまだ人気はありますよ」
 聞き流しながら、たとえば人知れず回収してしまうことはできないだろうかと考えていた。こんなものがいつまでも残っているのは不快だ。
「……ここだけの話ですがね。知っているんですよ。私は」
「なんだ」
 いやにもったいぶって文官は顔を寄せてきた。それが先程の話と繋がっているとは考えていなかった。頼み事の意味を知っているということかとタナッセは警戒し、相手を見つめたが彼は得意げに見返してくるばかりだった。
「ディレマトイの正体を」
 心臓が前置き無く存在を主張し、タナッセは慌てた。唾を飲み込み、じっと相手を見つめる。そんなはずがないという気持ちと、秘密というものは隠したところで言の葉の陰から尾を覗かせるものだという気持ちで揺れ動く。
「実はですね……秘密にしてくださいね。私なんです。ディレマトイの正体は」
 男の持ち上がった口の端がぴくぴくと痙攣している。
 からかっているのか、あるいはかまをかけているのか、それとも本気なのだろうか。
「……それはそれは……」
 タナッセは絞り出すように言葉を吐き、ディレマトイは自分だと宣言した男の顔をしげしげと眺めた。わずかに唇を持ち上げて泰然としたさまは、穏やかにも見えた。
「お疑いですね」
 男はどこか満足げに指摘して、背筋を伸ばし、にやりと笑った。
「……あまりに突拍子もないのでな。……証明できないだろう」
「お望みでしたら初稿をご覧に入れますよ。私の師匠に当たる方に手を入れていただく前の草稿です。いや、こんなに有名になるとは思っていませんでしたから、ほとんどは処分してしまったのですがね」
 タナッセは何か言わなくてはと口を開きかけたが、何を言っていいのかわからなかった。反論する権利は彼にはなかった。
「……忘れ去られないうちに新作を発表すべきだろうな。その……名を維持したいのならば」
「文官の仕事が第一ですからね、もちろん。それの……まあ、気まぐれというか、手慰みと言いますか。まあ、遊びですから。そのうちに」
 あれほど心血を注いだ成果を片手間にこしらえたものだと言われても、腹は立たなかった。得意げに言いつのる男を見ていると、隠していることを申し訳なく思うほどだった。真剣な怒りが湧かないことは、詩作が昔ほどは重要でなくなっていることを証明しているようだった。そんな日が来るとは考えもしなかった。
「……まあ、価値のある詩は他にいくらでもあるだろう。素晴らしい古典であれ、真に読んだと言える者はそうはいまい。誰もが話題合わせのために目を通しただけだ」
「古典も悪くはないですが……もっと、時代に合った新しい文学が求められているのですよ。次代の陛下には、そう、国を挙げて詩人の育成に望むくらいの意気込みを願いたいのです」
「詩が好きなのか」
「それは当然ですよ」
 言い切った男の顔はすっきりとしていた。
「……そうか。それはまあ……そうだな。では、お前のお勧めはどのあたりだ? せっかくだ、いくつか見繕ってもらおうか」
 タナッセにとってディレマトイであるときは、「私」ではいなくともよいときだった。同時に自分自身でいられる場所だった。誰も知らなくとも彼は正しく私そのものだった。それは一時の慰めなどではなく、ときには切迫して追い立てられるような苦しさがあった。苦しくはあったが、自由だった。そして他に類のない楽しみだった。
「そうですね……いま話題になっております、こちらなんてどうでしょうか」
「それか。軽く目を通したが、ばかばかしい筋だったな。次から次へと不幸に見舞われるだけで、喧伝されている悲劇の物語などとはとうてい思えなかったな」
「それはそうですが」
 当世流行りの詩人を名乗った男は上機嫌に笑って続ける。
「当人に何の責任も非もない災難が次々に襲ってきたら、それは喜劇ですよ。つまり、悲劇って、自業自得なんですよね」
 一理ある、とタナッセは認めた。そして、彼が書いても、自分が書いても、差異はなかっただろうと思えた。
 その日の終わり、部屋に戻ってから侍従頭に行き会うと文官のことを訊ねた。
「あの文官は、お前の縁者だったな。信用できると言っていたが」
「ええ、類縁の評判は悪くありませんでした。どうも少し調子に乗ることがあるようですが、基本的には善人ですし、口は堅いと思いましたが。それとも何か問題がありましたか」
「ああ……いや。別に問題はない」
 ここにいると自分は説得され続けている。
 どことなく受け入れがたい感覚があった気がしたが、タナッセは目をそらした。何も問題はない。

 王父という存在への敬意を見せる者、連れ合いを失った事への同情をあらわにしタナッセに寄り添おうとした者もある。内心はどうあれ早々に切り替えふるまいを改める者もあった。
「もう何年前のことになりますか」
 向かい合った婦人は前置きなく切り出した。広間のはしばしから耳をそばだてる音が聞こえるようだ。
「朝起きましたらね、霧が出ていましたの。まあ珍しいことと思いまして、朝食の前に庭を軽くそぞろ歩いていましたら、その霧は甘いような、すがすがしい、よい香りがしたんですのよ。目をこらしてみますと、ほのかに金づいてもいましたの。これは慶事の先触れだと直感が働きました。ですけれどもそののち特別なんともなく過ぎまして……私の勘違いだったのかと考え直しましたけど、また改めましたわ。思い返してみますと、レハト様のご懐妊の時期と一致しますの」
 タナッセはもう彼らをはねつけたりはしない。恥ずかしげもなくおもねる態度はいっそすがすがしい。こんなふうに割り切って行動に移せるような逞しさを、羨みながら軽蔑していた。ああはならないと、私が私であれないならば、それくらいならこんな所を捨てて逃げれば良いと思っていた。
 婦人は期待するように相手の目をのぞき込む。
「瑞気というやつでしょうかな」
 自若としてタナッセが応えると、彼女は得心したようにいかにも嬉しそうに笑った。タナッセも続いて微笑みながら、自分自身がすり減るような心地でいた。
 自分が王配にはならないことは子どもの頃から知っていた。そう確信していたわけでも想像していたのでもなく、ただ知っていた。夢想したことはあれど、そうはならないのだと心の奥では知っていたのだ。けれどもそれを口にすることはなかった。
 私はやり直しているのだろうか?
 ときおり、タナッセは時の流れを上手く認識できなくなった。子どもの頃すべきだったことを今なぞり返しているのだろうか。行くべきだった道を、選ぶべきだった政治的闘争を? あのときの必死の努力の何もかもは、はじめから無駄だったのかもしれない。だから今ここにいるのかもしれない。
 それはきっと痛みを伴うはずの行為だったのに、あまりに自分が平然としているためにそれが正しいことのような錯覚を覚えた。彼もまた彼らと同じ見解のような気がしてくるのだった。
「奥様は残念でしたわね。でもきっと、ご自分が成されなかった夢を託すためにあの方がお生まれになったのでしょうから……まさしく神の配でしょう」
 きっと立派な王になられますわと、婦人は微笑んだ。タナッセもそうなればいいと思い、お心遣い感謝しますと莞爾として答えた。
 かつての敵たちには敵対する理由はもうなく、あるのはくすぶった過去だけで、タナッセが諦めたのならそうそう火がつくことはなかった。彼らはもう敵ではない。タナッセにとって王城は二十年の歳月を経て「私たち」の場所になった。